01 / DEFINITION
資格は強さの序列ではない
魔術師の資格制度は、術者の能力を評価するためだけの制度ではない。どの範囲の魔術使用を許可し、どの領域への関与を認めるかを定める行政制度でもある。
高位資格には、強力な術式を扱う技量だけでなく、精神安定性、法理解、代償管理、禁忌知識への耐性が求められる。
つまり正式な術者とは、強い者ではなく、社会がその魔術行使を信頼できる者である。
02 / LADDER
術士階梯の基本構造
一般的な資格階梯は、見習術士、初等術士、中等術士、高等術士、専門術士、師範級術士のように整理される。階梯が上がるほど、許可される術式の出力、範囲、媒介携帯、公共術式への関与範囲が広がる。
監督下で基礎術式と象意制御を学ぶ段階。
低出力の生活補助・訓練術式を限定的に扱える段階。
実務的な術式使用、媒介携帯、限定的な公共支援を許可される段階。
高出力術式、複合術式、指導や管理に関与できる段階。
03 / APPRENTICE
見習術士と初等術士
見習術士は、独立した魔術行使を許可されない訓練段階の術者である。主な役割は、自身の象意傾向を知り、基礎術式を監督下で反復し、暴走兆候を記録することである。
初等術士は、低出力の生活補助術式や訓練術式を限定的に扱える段階である。ただし、市街地での高出力術式、精神干渉、広域結界、未登録媒介の運用は認められない。
この段階で重視されるのは、成功数ではなく、失敗を記録し、原因を説明できるかである。
04 / PRACTITIONER
中等術士と高等術士
中等術士は、社会の中で実務的な魔術を扱うことを認められた術者である。生活術士、都市補助術士、警備補助、低〜中規模の結界維持などが代表的な職域となる。
高等術士は、高出力術式、複合術式、儀式管理、教育補佐、公共術式の点検などに関与できる。ここでは技量だけでなく、代償管理や危険判断の精度が評価される。
高等資格とは、強大な魔術を許す免状ではない。危険な魔術を必要な場面でのみ扱えるという社会的信頼の証である。
05 / SPECIALIST
専門術士と師範級術士
専門術士は、医療補助、建築補強、気象補助、媒介工学、戦術術式、研究観測など、特定領域に特化した資格を持つ術者である。
師範級術士は、術者を育成し、術式体系を監督し、事故記録や禁忌知識を扱う責任を負う段階である。彼らに求められるのは、技術そのものよりも、技術を社会へ渡す判断力である。
NOTE
階梯は術者の価値を決める身分制度ではない。社会がどの危険度の魔術を任せられるかを示す管理区分である。
06 / SUMMARY
資格制度は信頼を管理する
資格制度は、魔術師を序列化するためではなく、魔術という危険な知を社会へ安全に接続するための仕組みである。
術者が何を扱えるかだけでなく、何を扱わないか、どこで止まるか、失敗をどう記録するかまで含めて評価することで、文明は魔術を公共の技術として維持している。